20221111

 時間をとって駒場アゴラまで自転車を漕いで4時間の演劇を見に行く。ムニという演劇集団による「言葉にない」という演劇で、前編後編のまだ前編だった。言葉にない、のに言葉の連発による演劇がまだまだある、とは。

 登場人物は主に4人の女性によって構成されていた。ひとりは同棲して結婚間近の人、彼氏は経理部門で働いてるらしい。もうひとりは父親の看病をしながら演劇に勤しんでいる。そしてもうひとりは周りの期待に応えるのが自分の幸せと思っている。最後の人は彼女と同棲をしている。この4人の中で、結婚、デモ、検閲、といった様々な制度的、社会的な要素が絡んでくる。

 内容は漠然とそういったもので、4人はいつも演劇をやっているらしいというのも分かる。けども、結婚してからパートナーに、演劇をやっている人と関わると変なことに巻き込まれそう、という理由で演劇のストップをかけられたり、たまたまレズビアンバーで出会った人を演劇のワークショップに誘ったら、その人の姉が議員で、美しさを保つためにとの理由で演劇のワークショップをする施設を使えなくしてきたりする。特にこの議員のエピソードは実際にあった事件を参照しているらしい。府中青年の家事件というもので、内容は是非、調べてほしい。

 と、内容を漠然と説明したものの、話の根幹はその議員の叔母が演劇をやっており、その戯曲がレズビアンである告白からはじまり、それに議員の人が気持ち悪い、となり、その戯曲を実際にその4人がある関係でやろうという動きが伴うという所にある。けども決して社会的な戯曲の感覚をさせられないし、入籍する人も、結婚を考えなくても周りの幸せを願う人も、最愛なるパートナーとひたすらに踊ったりする人もどこかデュエットしていた。

 まずい、ルー大柴になっている。