20221206

 横浜で三宅唱の〈THE COCKPIT〉をみた。小さな部屋にドカドカと男たちが入ってきて、OMSBが机にあるミキサーで音を作り始める。後ろにいるBIMが手前のOMSBにチョッカイを出したり歌ったりしている。途中に振る舞われるレッドブルがとても美味しそうにみえる。そこでBIMがいった「モンスターって、カメムシみたいな味がするって、友達が言ってて。」という。

 この映画はそう、言わずと知れた宅録についての映画である。ドキュメンタリーとも言われているが、四畳半?くらいのスペースにカメラとライト、それから何人かの人々が密集している。それだけの話とも言えるが、空間の広さが確実にカメラのセッティングを通して可視化されている。

 この奥行きは何か。2日目辺りにOMSBがBIMについて、曲作りについてNIKEの箱にマッキーで地図を綴りながら説明している。この説明は主に、BIMが持ってきたゴムボールが箱から落ちないために綴っているのだが、別のゲームを作りつつ、映画をメタに構造化している。こう撮っている、だったらウチらはこう撮り返す、と言わんばかりのシーンだった。

 最後にOMSBがリリックを何度も録音しては撮り直しており、それを遠巻きに別のOMSBが観る様に沈黙したOMSBのショットが急に差し込まれている。そこからも、みる人が逆に見られており、鑑賞者はそれをみている、という行ったり来たりの入れ子構造を披露している。そこからラストの高速から捉えた隅田川の風景がダラっと流れる。そのシーンはより広がりがある空間に見えた。

 映画を見る前に食べたラーメンと日本酒が沁みたまま、映画を見て、その後、コンビニでレッドブルを買って飲んだ。低温火傷した。