20230515

 家族で「劇場版 きのう何食べた?」を見た。この映画は漫画が原作となっており、それを元にしたドラマが放映され、その後、映画化が決まった。私はドラマもみており、弁護士の史朗が振る舞う手の込んだ料理のレシピに、次回は何が出てくるのか毎回楽しみにしていた。恋人の美容師、健二は食べる担当となっており、その食べっぷりもドラマの醍醐味となっている。劇場版では、恋人同士で京都旅行に行き、旅館での食事中に史朗がある告白をする。その告白を経て、ふたりの生活に変化が訪れてゆく。この映画をみて、印象的なシーンがあり、それについて書きたいと思った。それは、健二が働く美容室の同僚、田淵が同棲をしていた彼女の愚痴を職場で吐露していたときに、彼女が店に入店し、別れを告げるシーンだ。別れを告げたとき、彼女は二股をした相手がおり、そちらに乗りかえる話も田淵に話す。田淵の彼女は、カフェを開きたいらしく、その相談を彼女は何回か田淵にしていた。しかし、田淵は彼女の相談中、お酒を飲んであまり真剣に相談に乗ってくれなかったという。その田淵に愛想を尽かした彼女は、別の男と二股をしてしまい、その相手にも相談をした所、お酒も飲まずに真剣に答えてくれたため、乗りかえるという。その話をされ、更に別れを告げられた田淵は、あっさり、快諾する。その反応に彼女は少し慌てふためき、同棲の家に荷物を取りに行くと田淵に告げ、足早に店を出る。その後、田淵の潔い反応に、美容師たちから拍手が起こる。そこで、私が気になったのはマキタスポーツ演じる美容室の店長、三宅だけが「それでいいのかな」とボヤいていた所だ。マキタスポーツだけが別の反応をし、「それでいいのか」と周囲とまったく異なる態度をするのは、脚本家も意識していた所なのではないのかと推測してしまった。それは、千葉雅也のツイートが影響しているのであるが、2023年5月13日のツイートで千葉は「ありのままの君でいい、が「生存」。ありのままの君でいいわけないだろ(byマキタスポーツ)、が「実存」。」とツイートしている。この態度が「実存」なのではないのかと、映画をみて、観賞後にツイートをみて、考え込んでしまった。