20231019

 素朴に思うのがテン年代?に起こった「政治の季節」といってもよい時代に制作された作品は、ある人にとっては「以前起こったもの」として捉えてしまったのではないのか。この時代に度々開催された1969年代の作品制作についてのグループ展はまさにそうだ。千葉市美術館で開催された「1968年 激動の時代の芸術」や埼玉県立近代美術館で開催された「日本の70年代 1968-1982」などは美術館の諸制度の元でようやく展示できたグループ展かもしれない。それと現代作家による表現は別に存在する。けれどもそれらで開陳された作品とも通じる表現はある。そうした過去との通時的物事についてメスを入れ、それは再生産された物事としてのブリコラージュでもあったのではないのかと考えてしまう。なのである種の作法として表現されてしまう作品は虚しさを同時に抱えていて、それは作家の手つきにも現れている。その仮定法でいうなれば、物事の再生産を行う作品ではない表現とは何か。それについて問うべきであり、その領域についてメスを入れつつ自問自答するばかりだ。