20211012

お昼ご飯にクリームパン5つとチョコケーキパイふたつ、チロルチョコひとつを食べた。数百円の中で何が買えるのか選び取った結果である。とても少ないお金で何が買えるのかやってみる中で、小学生の頃を思い出した。

何を買えるのか分からない中で何かを買いたいと思っている。それにもかかわらず、少ないお金で何かを買うという行為は、大人になるにつれて増幅していく。この増幅についてとても気になった。

以前、大学院のワークショップで少ないお金で買える菓子を買ってみる事を通して、子供の眼差しを捉え返すということがあった。その眼差しの違いを疑わずに提案する方がいいプランができるという内容だった気がする。

それはそれとして、退勤後に読んだ保坂和志の『読書実録』で語られるレリスとカフカのくだりが少し共感できた様な気がした。

主に、ふたりが夢について書いた内容が自分についての泣きごとの多さであったり、恋人に対する煮え切らなさ、夢を粘り強く解釈していくという部分である。

読者は彼らの文章を読んでいる間に別の場面に「かわってしまう」という。けれども、読んでいる読者は全体の景色を把握するために情景に至る複雑な仕組みを把握しており、その人にとってはかわっても読むことができている。

そして、この場面転換がなければ読者は自分を追い詰めてしまうと精神科医中井久夫は読み解いているという。

ふたつの夢を語るレリスと「お話かわって」という切り返しが得意なカフカの文章を改めて読んでみたいと思っていた。

そんな事を考えながらも、いつもの電車に乗って会社と家を行ったり来たりしている。

電車に乗る道すがらで買ったタイ風焼きそばのインスタント麺がどこかの映画に登場していた事を考えながら二枚購入してしまった。

その前もインスタントカレーとスパゲティソースを購入しており、どれもすぐに調理可能である事も分かっていた。

どこかで料理をしてお金が減るのに怯えながら生きている。

そんな自分がいる事に気付きながらも、本を読みながら別のところに行きたいというもう一方の自分がいるのにも自覚的でいたかった。

引き裂かれながらも家でインスタント焼きそばを作り、紅生姜で混ぜ、上に卵焼きを乗せてビールとともに食べた。

インスタント飯は時間をかけて作った飯よりも軽く食べることができ、その分、これからのことやこの前のこと、或いは夜に見てしまった夢のことについて考えずにたいらげた。

あまり深いことは考えない様にしようと思っている自分がそこにいた。